ザガーロとは?効果・特徴・作用の仕組みをわかりやすく解説
AGA(男性型脱毛症)の治療について調べていると、「ザガーロ」という名前を目にすることがあります。
ザガーロは、デュタステリドを有効成分とする男性型脱毛症(AGA)の治療薬です。テストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)が作られる過程に関係する「5α還元酵素」を阻害することで、AGAの進行に関わるDHTを減らします。日本では男性における男性型脱毛症を効能・効果として承認されている処方箋医薬品です。
この記事では、
- ザガーロとはどのような薬なのか
- AGAにどのような効果が期待できるのか
- なぜ薄毛の改善につながるのか
- フィナステリドとは何が違うのか
- 効果を判断するまでどのくらいかかるのか
- どのような副作用や注意点があるのか
を順番にわかりやすく解説します。
ザガーロとは?
ザガーロは、有効成分デュタステリドを含む5α還元酵素阻害薬です。
現在の添付文書上、ザガーロには、
- ザガーロカプセル0.1mg
- ザガーロカプセル0.5mg
があります。
効能・効果は「男性における男性型脱毛症」です。女性や小児には投与せず、20歳未満については安全性・有効性が確立されていません。
つまり、ザガーロは単に「髪を生やす薬」というより、
AGAの進行に関与する男性ホルモンの働きを抑えることで、AGAを治療する薬
と理解するとわかりやすいでしょう。
そもそもAGAはなぜ進行する?
AGAを理解するうえで重要なのが、男性ホルモンの一種である**DHT(ジヒドロテストステロン)**です。
体内に存在するテストステロンは、「5α還元酵素」という酵素の働きによってDHTへ変換されます。
このDHTがAGAの発症・進行に深く関わっています。
AGAではDHTの影響を受けた毛包で正常な毛周期が保ちにくくなり、十分に太く長く成長する前に毛髪が抜ける状態が繰り返されます。その結果、徐々に細く短い毛髪が目立つようになり、薄毛が進行していきます。
ザガーロの有効成分デュタステリドは、このDHTを作る過程そのものに作用します。添付文書でも、デュタステリドはテストステロンをDHTへ変換する1型・2型の5α還元酵素を阻害することが示されています。
ザガーロの作用の仕組み
ザガーロの作用を非常に簡単に表すと、
テストステロン
↓
5α還元酵素
↓
DHT
↓
AGAの進行
という流れのうち、5α還元酵素の働きを抑える薬です。
ザガーロに含まれるデュタステリドが5α還元酵素を阻害すると、DHTの生成量が低下します。
実際に男性型脱毛症患者を対象とした試験では、デュタステリドを24週間投与した時点で、血清中DHT濃度はベースラインと比べて、
- 0.1mg:83.6%減少
- 0.5mg:90.9%減少
しました。別のデータでは6か月後の頭皮中DHTについて、0.1mgで40%、0.5mgで52%減少しています。
このように、ザガーロはAGAの原因に関係するDHTを抑制することで、毛髪が成長しやすい状態を維持する方向へ働く薬です。
ザガーロにはどんな効果が期待できる?
ザガーロに期待される中心的な効果は、男性型脱毛症の改善です。
具体的には、
- 抜け毛の進行を抑える
- 細く短くなっていた毛髪の成長を助ける
- 毛髪数の改善につながる
- AGAの進行を長期的にコントロールする
といった目的で使用されます。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」でも、男性型脱毛症に対するデュタステリド内服は推奨度Aとされ、「行うよう強く勧める」と評価されています。一方、女性型脱毛症への使用は推奨されていません。
臨床試験では毛髪数の増加が確認されている
ザガーロの承認時に実施された国際共同試験では、20~50歳の男性型脱毛症患者917例を対象として、デュタステリド、フィナステリド1mg、プラセボを比較しています。
24週間後の頭頂部における毛髪数のベースラインからの変化量は、
| 投与群 | 毛髪数の変化量 |
|---|---|
| プラセボ | -4.9本 |
| デュタステリド0.1mg | +63.0本 |
| デュタステリド0.5mg | +89.6本 |
| フィナステリド1mg | +56.5本 |
でした。
この試験では、デュタステリド0.1mgおよび0.5mgについてプラセボに対する優越性と、フィナステリド1mgに対する非劣性が検証されています。
さらに国内で行われた120例の52週間投与試験では、デュタステリド0.5mg投与後の頭頂部の毛髪数はベースラインから68.1本増加しました。
ただし、これらは臨床試験における平均的な結果であり、実際の効果には個人差があります。
ザガーロの大きな特徴は「1型・2型」の両方を阻害すること
ザガーロを理解するうえで最も重要な特徴の一つが、
1型と2型、両方の5α還元酵素を阻害する
ことです。
AGA治療でよく知られているフィナステリドは主として2型5α還元酵素を阻害します。
一方、デュタステリドは、
1型5α還元酵素
+
2型5α還元酵素
の両方を阻害します。
この作用範囲の違いが、ザガーロとフィナステリドを比較するときの大きなポイントになります。
ただし、「両方を阻害するからすべての人にザガーロの方が適している」という意味ではありません。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、デュタステリドとフィナステリドの効果差については、評価項目によって結果が異なっており、さらなる検討が必要とされています。
AGAの進行状況、これまでの治療歴、副作用への考え方などを踏まえて治療薬を選択することが重要です。
ザガーロは「すぐ髪が生える薬」ではない
ザガーロを飲んだからといって、数日や数週間で急に髪が増えるわけではありません。
AGA治療では、毛髪の成長周期そのものを考える必要があります。
現行の添付文書では、投与開始後12週間で改善が認められる場合がある一方、治療効果を評価するためには通常6か月間の治療が必要とされています。
つまり、
服用開始
↓
DHTが低下
↓
AGAによる毛髪への影響が抑えられる
↓
毛周期が進む
↓
数か月かけて変化を評価する
という考え方になります。
数週間で目立った変化がないからといって、ただちに「効いていない」と判断する薬ではありません。
ザガーロの服用方法
添付文書上、男性成人には通常、
デュタステリド0.1mgを1日1回
経口投与し、必要に応じて、
0.5mgを1日1回
投与します。
治療効果の判定には通常6か月間が必要です。
また、6か月以上投与してもAGAの改善がみられない場合には投薬中止を検討し、6か月を超えて継続する場合も定期的に効果を確認することが添付文書に定められています。
AGA治療は「とりあえず何年も飲み続ける」というものではなく、定期的に効果と安全性を確認しながら継続の必要性を判断する治療です。
ザガーロとフィナステリドの違い
AGA治療を検討するとき、ザガーロとフィナステリドの違いが気になる人は多いでしょう。
大きな違いを整理すると次のようになります。
| ザガーロ | フィナステリド | |
|---|---|---|
| 有効成分 | デュタステリド | フィナステリド |
| 薬の種類 | 5α還元酵素阻害薬 | 5α還元酵素阻害薬 |
| 主な阻害対象 | 1型・2型 | 主に2型 |
| 主な目的 | 男性型脱毛症の治療 | 男性型脱毛症の治療 |
デュタステリドとフィナステリドはいずれも男性型脱毛症に対する内服治療として日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aに位置づけられています。
「どちらが絶対に優れている」と単純に決めるのではなく、それぞれの作用や患者ごとの状態を考えて選択することが重要です。
ザガーロの主な副作用
ザガーロでは副作用が起こる可能性があります。
現行の添付文書では、1%以上の副作用として、
- リビドー減退
- 勃起不全
- 射精障害
などを含む性機能不全が記載されています。
そのほか、1%未満として頭痛、抑うつ気分、乳房障害、腹部不快感などがあり、重大な副作用として頻度不明の肝機能障害・黄疸が記載されています。
国際共同試験では、デュタステリドを投与された557例における副作用発現頻度は17.1%で、主な副作用は、
- 勃起不全:4.3%
- リビドー減退:3.9%
- 精液量減少:1.3%
でした。
症状が現れた場合は自己判断だけで服用を続けたり中止したりせず、処方した医師に相談してください。
ザガーロを服用できない人
ザガーロは誰でも服用できる薬ではありません。
添付文書では、
- ザガーロの成分や他の5α還元酵素阻害薬に過敏症の既往がある人
- 女性
- 小児
- 重度の肝機能障害がある人
は禁忌とされています。
また、ザガーロは経皮吸収されるため、女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないよう注意が必要です。
カプセルは噛んだり開けたりせず、そのまま服用します。
PSA検査を受ける人はザガーロ服用を医師に伝える
デュタステリドには、前立腺がんの検査などで使用されるPSA(前立腺特異抗原)の値を低下させる作用があります。
添付文書では、前立腺肥大症患者にデュタステリド0.5mgを投与した場合、6か月後のPSA値が約50%低下するとされています。
そのため、PSA検査を受ける場合は、ザガーロを服用していることを必ず検査を行う医師へ伝えることが重要です。
健康診断や人間ドックでPSA検査を受ける場合にも忘れず申告しましょう。
ザガーロはAGA以外の薄毛にも効く?
ザガーロの適応は、
男性における男性型脱毛症
です。
添付文書にも「男性における男性型脱毛症のみの適応であり、他の脱毛症に対する適応はない」と明記されています。
薄毛だからといって、すべてがAGAとは限りません。
したがって、まず薄毛の原因がAGAなのかを適切に判断することが重要です。
ザガーロは保険適用される?
ザガーロによるAGA治療は保険給付の対象ではありません。
現行の添付文書でも「本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)」とされています。
そのため、AGA治療として処方を受ける場合は原則として自由診療になります。
ザガーロについてよくある質問
ザガーロは発毛薬ですか?
臨床試験では毛髪数の増加が確認されていますが、作用の中心はAGAに関与するDHTの生成を抑えることです。
そのため、「直接毛を生やす刺激を与える薬」というより、AGAによって毛髪が成長しにくくなる原因に働きかける薬と理解するとよいでしょう。
何か月で効果が出ますか?
添付文書では12週間で改善が認められる場合があるものの、効果判定には通常6か月間の治療が必要とされています。
効果の現れ方には個人差があります。
0.1mgと0.5mgがありますが、どちらを飲みますか?
承認された用法・用量は通常0.1mgを1日1回で、必要に応じて0.5mgを1日1回投与します。
用量は自己判断で変更せず、医師の指示に従ってください。
女性も飲めますか?
いいえ。
ザガーロは女性には投与しない薬です。また、女性は漏れたカプセル内容物への接触にも注意する必要があります。
ザガーロとデュタステリドは違う薬ですか?
デュタステリドは有効成分の名称、ザガーロはその成分を含む医薬品の商品名です。ザガーロカプセル0.1mg・0.5mgの有効成分はいずれもデュタステリドです。
まとめ|ザガーロはDHTの生成を抑えてAGAを治療する薬
ザガーロは、デュタステリドを有効成分とする男性型脱毛症治療薬です。
最大の特徴は、DHTの生成に関わる1型・2型の5α還元酵素の両方を阻害することです。
ポイントをまとめると、
- 男性におけるAGAの治療薬
- 有効成分はデュタステリド
- 1型・2型5α還元酵素を阻害する
- AGAに関与するDHTを低下させる
- 臨床試験で毛髪数の改善が確認されている
- 効果判定には通常6か月程度必要
- 性機能不全などの副作用に注意する
- 女性・小児・重度肝機能障害患者などには投与しない
- PSA検査を受ける場合は服用を医師へ伝える
という薬です。
AGAは進行の程度や治療への反応に個人差があります。
「ザガーロを飲めば必ず髪が生える」と考えるのではなく、AGAの進行を抑えながら毛髪の状態を改善していく治療の一つとして理解し、医師の診察のもとで適切に使用することが大切です。
※本記事は医薬品に関する一般的な情報の提供を目的としています。実際の診断、処方、服用継続・中止、用量変更については医師にご相談ください。
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