ザガーロとは
ザガーロはAGA「男性型脱毛症」の治療薬としてグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)から発売されました。有効成分名はデュタステリドと呼ばれます。世界初であったAGAの飲み薬プロペシアに次ぐA治療薬です。最近は耳にすることも多くなったAGAとは男性型脱毛症の略称です。成人男性にみられる、額の生え際や頭頂部の髪が薄くなる症状です。早ければ20代から始まることもあり、治療しなければ進行します。
ザガーロの成分デュタステリドは前立腺肥大の治療薬として2009年に厚労省の承認を得ています。もともとアボルブという薬品名で処方されていましたが、2015年に新たにAGA治療薬としての承認が下りました。ザガーロとアボルブは名前こそ違いますが有効成分は同じデュタステリドです。デュタステリドは前立腺肥大の治療薬として2009年からすでに15年以上も国内で使用されていますので安全性は高いといえます。日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでも、ザガーロ(デュタステリド)はAGA治療において強く推奨されています。
ザガーロ概要
有効成分 | デュタステリド 0.5mgおよび0.1mg |
服用方法 | 1錠/1日(等間隔が理想) |
効果の発現 | 少なくとも連続6ヶ月間。早い場合は12週間 |
主な副作用 | 性機能不全(性欲減退、勃起不全など)1%以上、頭痛、抑うつ、乳房障害(1%未満)ほか |
併用禁忌薬 | なし |
併用注意薬 | CYP3A4阻害剤(リトナビル等) |
食事の影響 | なし |
禁忌(献血) | 服用中止後、6ヶ月以上を経過するまで献血してはならない |
禁忌(女性) | 女性(特に妊娠の可能性のある、または授乳中)と小児は、服用できない。また、割った錠剤に触れてはならない |
ドーピングリスト | 「2023年禁止表国際基準」に記載なし |
外装箱 | |
剤形 | |
製造販売元 | グラクソ・スミスクライン社 |
ザガーロの飲み方
1日1カプセルを毎日服用します。服用する時間帯や食事のタイミングは作用に影響しません。ただし、服用の間隔をなるべく一定にし、習慣化もできるよう、都合の良い時間を決めておきましょう。ザガーロは長期的に渡って使う薬です。一日飲み忘れたからといって次の日に2回分を飲む必要はありません。一日忘れただけで直ちに効果に影響を及ぼすわけではありません。過ぎたことは忘れ、毎日1錠の服用を守って下さい。*当クリニックでは1mgのザガーロを処方しています。
効いたかどうか確認するには?
正しい使用法で服用を続けると、早い方で約3ヶ月、一般的にはおよそ6ヶ月で効果が現れ始めます。服用後6ヵ月のDHT(AGAの原因物質)は、血清中で65~90%、頭皮中で40~52%減少したとされています。服用前後での髪の毛の手触りの違いながを感じられることもあるようですが、ご自身で撮影した頭頂部の画像を比較する方法もあります。ただし、6ヶ月以上服用して効果が感じられない場合、服用の中止がすすめられることもあるので、使用を続けるかどうかを医師と相談して下さい。
ザガーロの処方
医師が診察のあとザガーロの処方を行います。初診料・診察料はかかりません。オンライン診察では所要時間10分程度です。現在の健康状態を確認しますので、使用中の薬があれば全てお知らせ下さい。当クリニックは処方量が多いので、常に最新の状態の在庫があります。長期的に使用が可能と診断され、ご希望があれば、1年分まとめると割引が適用されます。(まとめ割引:12ヶ月分の価格で13ヶ月分処方)
AGAはなぜ起こる?
健康な人の髪の毛は、3~5年のサイクルで生え変わりを繰り返しながら一定の毛量を保っています。AGAの人の髪の毛は、そのサイクル(ヘアサイクル)が短くなり、やがて生えることがなくなる症状です。ザガーロなどのAGA治療薬はの服用、短くなりつつあるヘアサイクルを元に戻す治療法です。
プロペシアからザガーロへのりかえたい時
AGA治療でプロペシアやザガーロに期待することは、どちらも原因物質DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑えることです。そのためどちらを選ぶべきか迷うかもしれません。また、プロペシア(フィナステリド)の使用で効果が感じにくい時にザガーロ(デュタステリド)への乗り換えを考えるかもしれません。ここでザガーロを選んだ時に起こりうることは次の通りです。
ザガーロとプロペシアとの違い
ザガーロもプロペシアも、この5αリダクターゼの働き呼ばれる酵素の作用を抑える薬ですが、それぞれ違いがあります。問題になる5αリダクターゼはⅠ型とⅡ型の2種類が存在します。Ⅰ型の5α-リダクターゼは全身の皮脂腺に多く、Ⅱ型の5αリダクターゼは頭頂部や前頭部に多く存在します。そこで頭皮に多くあるⅡ型の5αリダクターゼが活性化すると、DHT(ジヒドテストステロン)の影響によってAGAが進行します。
・プロペシアの有効成分であるフィナステリドには、Ⅱ型の5αリダクターゼの働きを阻害します。
・ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、Ⅱ型、Ⅰ型両方の5αリダクターゼの働きも阻害する作用があります。
ザガーロ | プロペシア | |
有効成分 | デュタステリド | フィナステリド |
効能 | AGA(男性型脱毛症) | AGA(男性型脱毛症) |
作用の対象 | 5αリダクターゼ Ⅰ型・Ⅱ型 | 5αリダクターゼ Ⅰ型のみ |
薬の作用時間が長くなる
プロペシアの体内での半減期(体内での濃度が半分になる時間)は6~8時間である一方、ザガーロのそれは約2週間あり、効果がより長く続きます。一方、そのぶん副作用の発生の可能性も高くなり得ます。副作用には個人差があり、出ない場合も含め、使用中は医師と相談する必要があります。
ザガーロの歴史
ザガーロの有効成分であるデュタステリド(Dutasteride)は、テストステロン(男性ホルモン)の派生物質であるジヒドロテストステロン(DHT)生成を阻害する5α-還元酵素阻害薬です。もともと前立腺肥大症の治療に使用されていましたが、日本では2015年にAGA治療にも効能があることが確認され承認を受けました。臨床試験での抜け毛の防止効果はフィナステリド(プロペシア)を約1.6倍の効果があるとされています。日本では、ザガーロ(男性型脱毛症)、アボルブ(前立腺肥大症)で発売されています。海外での製品名はAvodart、DUTAVOLVEなどがあります。
ジェネリック登場
ザガーロのジェネリックは、有効成分の一般名デュタステリドとして、2020年に東和薬品から、続いて複数の製薬各社から発売されています。ジェネリックの効用は基本的には先発薬ザガーロと同様です。長期間使うことになるので、経済的に服用を続けたい方はジェネリックの利用もおすすめです。
製薬会社 | カプセル剤外観 | |
デュタステリド「トーワ」 | 東和薬品 | |
デュタステリド「MYL」 | ヴィアトリス | |
デュタステリド「AFP」 | アルフレッサph. | |
デュタステリド「明治」 | 明治 | |
*以上、当クリニック扱いあり | ||
*ほか、沢井製薬、富士化学、クラシエ、シオノケミカル、武田テバ、江州製薬 |
ザガーロと併用できるAGA治療薬
AGAの原因となる物質DHTの生成に係わる5α還元酵素には、主に頭皮に存在するⅡ型と、全身に存在するⅠ型があります。プロペシア(フィナステリド)はⅡ型に対して、次の世代のAGA治療薬ザガーロ(デュタステリド)はⅠ・Ⅱの両方の型に対して、その生成を抑えます。また、外用薬のミノキシジルは毛包周囲の毛細血管を活性化させます。(内用薬のミノキシジルは日本で認可されていません)。もうひとつの外用薬カルプロニウム塩化物も、頭皮の毛細血管を拡張させることで毛髪の成長を助けます。内用薬の併用はできませんが、内容・外用薬の併用はより一層の効果が期待できます。
プロペシアほか | ミノキシジルほか |
男性型脱毛症診療ガイドライン
日本皮膚科学会はAGA治療において、効果が疑われる民間療法が蔓延していることを憂慮し、科学的根拠に基づいた情報を選出し、医師・患者双方にとって標準的治療法を提示することで日本でのAGA診療水準を向上するという目的を掲げて「男性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」を作成しました。これに基づくザガーロの位置づけは次の通りです。
フィナステリドの内服は有効か? | 推奨度A:行うよう強く勧める |
デュタステリドの内服は有効か? | 推奨度A:行うよう強く勧める |
ミノキシジルの概容は有効か? | 推奨度A:行うよう強く勧める |
ミノキシジルの内服は有効か? | 推奨度D:行うべきではない |
*一部を抜粋。いずれもAGA男性型脱毛症に適用した場合
女性男性型脱毛症
女性のうす毛は生活習慣の乱れや加齢などでホルモンのバランスが崩れ、女性ホルモン(エストロゲン)が減少すると髪の毛の成長期が短くなることで起こります。男性ホルモンの派生物質DHTを原因とし、頭頂部やおでこから薄くなる男性型脱毛症AGAとは異なり、髪の毛の分け目から全体的に密度が低くなるのが特徴です。(びまん性と呼びます)うす毛の原因が異なるので、女性はザガーロを使えません。服用しても効果はないばかりか、副作用等のデメリットしかありません。女性のうす毛は、医師と原因を相談したうえで、ミノキシジル外用薬などで対応することが必要です。
注意事項
- 他の薬との併用
ザガーロについて、併用禁忌となる薬はありません。ただしCYP3A4阻害剤(リトナビル等)に分類される薬は、ザガーロなど体内での薬の代謝に影響を及ぼすことがあり注意が必要です。いずれにせよ診察時に、現在使用中の薬や、治療中の疾患があれば医師に報告して下さい。
- 女性への注意
ザガーロ(デュタステリド)は、胎児の男性器の形成に影響を及ぼすおそれがあります。このため妊娠中または妊娠の予定がある女性は決して触らないで下さい。薬剤はカプセル内にあるため、カプセルに触れても直ちに問題になるわけではありませんが、有効成分は経皮吸収されます。内部には決して触れないでください。
- 献血について
ザガーロ(デュタステリド)を服用中の方は献血ができません。再開する場合は6カ月の休薬期間を置く必要があります。フィナステリドの休薬期間1ヶ月と異なります。輸血を受けるのが、女性や未成年である可能性があるからです。
- 前立腺がん検診
前立腺がんの検診を受ける予定のある方は、検査時にザガーロ(デュタステリド)を使用していることを必ず伝えて下さい。前立腺がん検査で測定されるPSA値を約50%低下させるためです。検査時のPSA値の評価を2倍とする必要があるからです。
個人輸入と偽物
その気になれば医薬品でさえインターネットで「購入」できるようになり、一部ではクリニックと見まがうような個人輸入の代行業者が増えています。しかし偽造医薬品も数多く流通しており、厚生労働省や製薬会社も正確な状況を追いきれていません。AGA治療薬は長期的に使用する薬なので、もし事故があった場合の影響も大きくなる可能性があります。この場合「医薬品副作用被害救済制度(PDMA)」の対象とはなりません。何より自身の健康は金銭で買えることはできません。処方薬は医療機関で、医師の指導下で使用しましょう。
国内未認可のAGA治療薬名(例)
フィンペシア フィナックス フィナロ プロスカルピン フィライド フィンサバ フィナロイド ハリフィン エフペシア フィナバルド フィンカー |
ザガーロほかAGA治療薬のオンライン処方