健康な人、AGA患者のヘアサイクル
ヘアサイクル（毛周期）とは
健康な人の髪の毛は3~5年成長し続けた後、いったん抜け落ち新しい毛に生え変わって一定の毛量を保ちます。これをヘアサイクルといいます。AGAは、DHT（ジヒドテストステロン）と呼ばれる物質が原因で髪の毛の成長周期が短くなることで発生します。ザガーロはこの原因物質DHTの生成を妨げることでAGAの進行を阻止します。次の3つの図は、健康なとき、AGA発症時、ザガーロ服用中のヘアサイクルを示したものです。
健康な人のヘアサイクル
健康な人の髪の毛は3~5年の周期（ヘアサイクル）で代わる代わる生え変わり、一定の毛量である約10万本が保たれます。
AGA患者のヘアサイクル
一定の年齢を迎え、AGAの原因物質であるDHTが頭皮で影響を及ぼすようになって、AGAが発症します。これによって髪の毛のヘアサイクルが徐々に短くなります。正常より短いヘアサイクルを持つ髪の毛の割合が増えてゆき、それに伴って全体の毛量が減ってゆきます。
ザガーロ使用時のヘアサイクル
ザガーロ（デュタステリド）は、AGAの原因となる物質DHTの生成に必要な5α還元酵素を阻害することでDHTの生成を抑えます。この結果、うす毛の進行が抑制されます。ザガーロはその作用のしかたから、5α還元酵素阻害剤と呼ばれます。AGAによって徐々に短くなりつつあるヘアサイクルを、ザガーロが正常な長さに戻すのがこの薬の働きです。
AGAの原因
AGA（男性型脱毛症）を引き起こすのはDHT（ジヒドロテストステロン）と呼ばれる物質です。AGAで悩む男性は、生え際や頭頂部の頭皮に通常より多くのDHTが産生されます。このDHTが毛乳頭細胞で作用すると、毛髪の成長が妨げられヘアサイクル（髪の毛の成長周期）が短くなり、うす毛が進行します。
*DHTは胎児期には男性器の正しい形成に欠かせない重要な働きを持ちますが、思春期以降はAGAや前立腺肥大など、好ましくない作用を及ぼすことがあります。
ザガーロはどうして効くのか
（その前に）髪の毛の成長はなぜ、いったん止まる必要があるのか
細胞が生まれ変わる新陳代謝の一部である、健康な髪の毛のヘアサイクルが保たれるためには、3~5年ほどの寿命がある髪の毛が、新しい寿命を持つ髪の毛に席を譲るために、いったん抜け落ちて休む必要があります。
髪の毛の寿命を終わらせるためには、髪の根元でFGF-5と呼ばれる、脱毛を誘導する物質を必要とします。FGF-5はFibroblast growth factorという線維芽細胞増殖因子の一種です。線維芽細胞の増殖を促し、血管を新しく作ったり傷口を治す重要な働きがある一方、髪に抜け毛の指令を出すスイッチの役割も持ちます。このスイッチが働くと髪の成長がストップし、毛母細胞に栄養を送っていた毛乳頭と毛細血管が離れ、髪の毛は頭皮に留まる力を失います。その後、新しい髪の成長から押し上げられるようにして抜けていくのがヘアサイクルです。
このFGF-5が働くためには、TGFβという物質からの指令が必要です。TGFとはTransforming growth factorの略で、TGF-βは細胞増殖や免疫機能を調整するスイッチ機能を果たします。骨芽細胞など細胞の増殖を促進する働きがある一方、毛乳頭や毛母細胞を含む上皮細胞の活動を抑制するため、髪の成長を止める役割を持つ脱毛因子です。
脱毛の指令を司るTGFβは、男性ホルモンの一種であるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつくことで生成される、DHT（ジヒドロテストステロン）を必要とします。DHT（ジヒドロテストステロン）は、額の生え際や頭頂部に多く存在している「ホルモン受容体（アンドロゲンレセプター）」という場所に取り込まれて、この「TGFβ」が産生します。
このように髪の毛の成長がいったん止まることは、髪の毛の持続的な成長に欠かせないのですが、これが行きすぎると、うす毛が進行してしまう結果となります。
髪の毛の成長を止めないためには
髪の毛の寿命を正常な範囲に収めるためには、その原因をもとから断つ必要があります。これには脱毛を誘導する蛋白質FGF-5の働きをコントロールするTGFβを過剰に生ませないこと。このTGFβのもとになるDHT（ジヒドロテストステロン）を作らせないこと。そして、このDHT（ジヒドロテストステロン）をテストステロン（男性ホルモン）をもとに出来あがるときに必要な、5αリダクターゼと呼ばれる酵素の作用を抑えることがザガーロ（デュタステリド）の働きです。
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